OSSANN  (オッサン)

 私の名前は薬師寺 英二。ニックネームはオッサン。(老けてるかららしい)
年は19歳で背が高い。そんなオッサンのある一夜の出来事……。

 私は恋に落ちた。その女性の背は高く、顔は毎秒毎秒変化しそのどれもが私を
誘惑し、私を虜にする。
私は、彼女のことが知りたくて仕方なかった。そんな女性に告白する日は、もの
凄く早かった…。
オッサン「乙女ぇーーーー!!!!」
    「一目見たときから言いたかった文句を言ってやる!」
乙女  「な、なんですか!?」
オッサン「一目惚れじゃーーーー!!!」
    「ぞっこんLOVE!!」
乙女  「いやや!」

 この告白が終わって、倒れた私を介抱しに来てくれた乙女さんに今度は真剣に
告白したのですが…
また振られてしまい、この恋が終わったと私が覚悟した瞬間
乙女  「良い口説き文句思いついたらいってき」

 この言葉をわがルームメイト(+その瞬間神)の信吾が伝えてくれたとき、私
の戦いが始まったのですよ……。

4月??日   午前2時

「なにかいい告白の仕方がありませんかねぇ。」ひとり呟くオッサン。
イケメン「じゃけーーん。じゃけーーーんのーー」
信吾  「くそっ、なぜだ?なぜなんだ?俺はお前を信じていた。なのになぜだ
!!」
部屋の中は、イケメンのいびきと信吾の寝言がおおいつくす。
「うーん外で夜風にあたりながら考えてみますか」またひとり呟くオッサン。
 グランドのベンチに姿勢正しく座るオッサン。夜風が冷たくて、気持ちがいい
。
空気もバルサンの臭いがしない。なんとも心地よい気分になる。
「うーん。なにかこうロマンチックな告白の仕方となると、いったいなにが必要
なんでしょうか」
またまたひとり呟くオッサン。空を見上げると、ものすごい星がきらきらと輝い
ていた。
しばし、星空を見上げ無言になるオッサン。周りの風の音以外のすべて音は、静
寂だった。

「そんなところで、なにしよんの。オッサン」ある一人の女性の声が、その静寂
をブチ破った。
ふいの人間の声に、びっくりして振り向くオッサン。
「お、乙女さん!!」オッサンは声を張り上げて言った。
「なんや、大きな声出して。そない、びっくりせんでもええやろ。」乙女が、い
つもどおりの口調でいう。
「いや、びっくりしましたよ。こんな時間に。なぜ、こんなところにいるんです
か?」
「……いや、ただなんとなくや。そういうオッサンこそ、なにしてんねん?」
「いや、私もあなたと同じく、ただなんとなくですよ。」
「ふーん、そか」乙女が、いつもどおりの口調でいう。そういうと同時に、オッ
サンの横一人分空けてベンチに座った。
ベンチに座った乙女は、星を眺めていた。
沈黙  TINNMOKU   しーん
オッサンの心「かーー。なにを喋ればいいんですか。乙女さんは、星見てるし。
       気まずいでしょうかこれは!!いやこれが、ロマンチックなんで
しょうか??
       とりあえず落ち着け私。こいうときは、まずなにか世間話から入
って、
       すんなり告白するのが、よいのでしょうか?おお、神よ。
       はっ!!確か、バスに乗っているときに読んだ本、そう『人と上
手に対話する方法』あのマニュアルを思い出せ!
       我が脳よ!さぁカムバック記憶!さぁ!さぁさぁ!!」

マニュアル1  ー人の目を見て話すー
 立ち上がるオッサン。星を見ている乙女。オッサンは背が高い。オッサンが、
乙女の顔に覆いかぶさるように、目をあわせる。
しかし、ベンチに座っていてる乙女も背が高い。二人の顔の距離は、20センチ
くらいになる。
「あ、あの〜星見えないんですけど…」すこし困惑した様子で乙女がいう。
が、今オッサンの脳はそれどころではない。

マニュアル2  ー意思を持って、はっきりと相手に聞こえるように話すー
 「乙女さん!!」オッサンがはっきりという。
「な、何ですか?」乙女がまた困惑したようにいう。

マニュアル3  ー単刀直入に意見をいうー
 「あなたに、一目惚れしました。まだ告白して、あまり経っていませんがこの
チャンスを逃せません」
オッサンがはっきりいう。
「あなたを見てから、あなた以外の人のことは考えられません。どうか私と付き
合ってください」
「……まだまだやな」乙女が切り捨てたようにいう。

マニュアル4  ー手や体を使ってパフォーマンスも入れるとよいー
 撃沈。しかし、今回のオッサンは一味ちがった。
いきなり、前に顔を動かすオッサン。乙女の顔との距離が近くなる。オッサンの
唇と乙女の唇も……。
そして、ゆっくりと顔を前に動かし顔が近づく。二人の唇はくっついた。
オッサンの心「こ、これが乙女さんの味。なんだ、この味は!こんな味は……。
この味は確か。
うーん。確かこの味は……。はっ、虎の金の玉の味ーーーーーーー」
………
……
…
 「信吾、汁だけにしとけよ」イケメンが言った。
「ラジャー。大丈夫、大丈夫」信吾が言った。
「しかし、この幸せそうな顔は98%乙女の夢じゃけんのう。なんか悪いことし
よるみたいやのう」
「ふっ、イケメン。それは違うぜ。優しさと厳しさは、対義語ではなく類義語な
んだぜ。
優しさには厳しさがあり、厳しさには優しさがあるんだぜ。これは優しささ」
信吾はそういうと、高笑いした。その不注意から、信吾の持っていたトラの金さ
んが入っているビンが
傾き、大量の金玉エキスがオッサンの口の中に流れ込んだ。
「やっべーーーーー」信吾とイケメンが叫んだ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」とオッサン叫びながらおっさんが目を覚ます
。
しかも、見事な首跳ね起き(ラバーハンド)。しかも布団かぶったまま。
「私の体の中から、力が湧き出ている。私にこんな力があったとは、知りません
でしたよ。
なんだかとってもE気分ですよ。これが愛の力ですかーー!!」オッサンが興奮
しながら、続けた。
「今なら…今の私なら乙女さんを……。うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」オッサンが叫ん
だ。
「信吾、オッサンの様子が変じゃ」イケメンが叫んだ。
「ち、力が暴走している。イケメン逃げるぞ!」信吾が叫んだ。
「じゃけんのう!」
「ふっ。ふっふっふっふ……は…はは……はっはっはっはっはっはっはっはっは
っは!!!
力がみなぎってきますよ。もう誰も私を止められはしない。いきますよ!!」そ
ういうとオッサンは手を両手に上げた。
そして、バク転、バク転、バク宙をしたとき、最後のバク宙で窓ガラスを割って
外に落ちてしまった。
「終わったんかのう」イケメンがいう。
「いや、まだ下を見ないことには、わか」「見る必要はないですよ」信吾の言葉
をオッサンが遮った。
下から風が吹いているわけがない。いや吹いていてもここまでの強風は絶対に無
理だ。
なんと、オッサンは浮いていたのだ。正確には飛んでいるのかも知れない。
「このみなぎる力。信吾君、残念でしたね。乙女はもらいましたよ」そういうと
オッサンは飛んでいってしまった。
「あれは、本当にオッサンなのか!!」信吾が言った。
「わからんのう。しかし、今は婦女子のピンチじゃ。信吾いくぞ!!」
イケメンは、そう言いながらバイクにまたがって、マショマロをくわえていた。
「こんなバイク何処から、しかもこれはレーザー銃じゃないか!!」信吾が問う
。
「男は細かいこと、気にせんけんのう。ま、とりあえず行くかのう」
「おう!!」信吾とイケメンはバイクに乗って女子寮に向かう。
………
……
…
 「女子寮までなんて、この力があれば軽いものですね」オッサンが女子寮に着
く。
ピーン。殺気!!愛情?殺気!!まさか……この気配は……欲望(バグ)。
あやめが起き上がる。まさか、でもこの気配。もしかしたら、ここの生徒が!
「ふっふっふっふっふ……」
トントン。ドアをたたく音。
「乙女さん。居ませんか?ひとつ、言いたいことがあるんですが……」
「スースースーーーカァーーオエッ。スースースー」乙女は熟睡していた。
こんな時間にオッサンが来るのは、おかしい。とりあえずオッサンを見てみない
と。
そう思い、あやめはドアをゆっくりと開ける。
「おや、あやめさん。乙女さん居ませんかね?」オッサンが訊く。
オッサンは、あまりに興奮し、あまりに膨大な力を使ったために目が黄色になっ
ていたのだ。(いたのだ?)
やっぱり、オッサンは取り付かれていると勘違いした、あやめは戦闘態勢に入る
。
しかし、ここで戦っては犠牲者がかなりでてしまう。そう思い、あやめはオッサ
ンをまず女子寮から出すことにした。
「乙女なら……グランドに行った……」あやめがいう。
「そう……ですか。こんな時間に……。まぁとりあえず見てきましょうか」そう
言ってオッサンはグランドに向かう。
その後を気づくれないように、あやめが後をつけていく。
………
……
…
 グランドに着く。そこには、もちろん乙女はいない。
「これは、いったいどういうことですか?あやめさん」オッサンが訊く。
「きみは、まだ、完全に支配されていない。なぜなのかは、わたしにもわからな
い。
でもその目は、明らかに取り付かれている。きみを断罪する」あやめがナイフを
手にしていう。
「なにを言ってるかはわかりませんが、戦うしかないようですね……。仕方ない
ですね」オッサンがいう。
 あやめは、手に持っていたナイフをオッサンの顔に向けて投げる。
オッサンはナイフをマトリックスよけをして、その格好のままあやめのほうに走
ってくる。
あやめは、ジャンプしオッサンの股間にキックを入れる。ゴチッ。鈍い音がする
。
「くぅぅぅぅぅ」と言って倒れこんだのは、なんと、あやめだった。
「わたしのペ○スを甘く見ないでほしいですね」勝ち誇った顔をしていうオッサ
ン。
「少々乱暴ですが、乙女さんの場所を吐いてもらいましょうか」そういうとオッ
サンは、また高く空に飛び立った。
そして、上から股割りをしたまま急降下してきたのだ。キックしたあやめの足が
おかしくなるペ○スがこの高さから落ちてきては、
ひとたまりもない。だめだ、よけられない……あやめはそう思い顔を地面にふせ
た。
あやめとオッサンの距離が直前まできたとき、ビーーンという音と共にオッサン
が吹っ飛んでいた。
「オッサーーーーン!!!」レーザー銃を持ってバイクに乗っている信吾が叫ぶ
。
その隙に、イケメンがあやめをバイクに乗せて信吾のところまで連れ出す。
「くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」オッサンが叫んだ。さっきのレーザー銃がオ
ッサンの大事なところにあたったらしい。
「わたしの……わたしのマイSUNが……」オッサンは叫んでいる。
「何なのあの欲望(バグ)は?!!」あやめが信吾に訊く。
「あれは欲望(バグ)じゃない。あれはオッサンだ」
「オッサン??どういう意味?」
「今は詳しくは言えない。しかし、これ以上オッサンが力を使うと、力が暴走し
てしまう。それだけはふさがないといけないんだ。
そういうことだ。イケメンあやめさんを頼んだぞ」
「信吾……。お前一人で勝てる相手じゃないけんのう」イケメンがいう。
「俺が時間を稼ぐ。イケメンはそのうちにあやめさんを安全なところへ」
「信吾……。わかったけんのう。お前、漢じゃのう」
「ちょっと、ぜんぜんわかんないんですけど……」あやめがボソッと呟いた。
 が、信吾とイケメンにはまったく聞こえていない。なぜなら、今彼らは、漢な
のだから。
「すぐもどってくるけんのう。それまでに死んどったら殺すがのう」そういうと
イケメンはあやめを乗せて、
森のほうへと走って行った。
 「くぁぁぁぁぁあああああ!!!」突然オッサンが悲鳴をあげた。
その瞬間、オッサンの皮膚が破け、筋肉、血管、内臓、が大きくなっていく。
「くぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!」
もはや、信吾の前には肉がかたまった化け物と化したオッサンが立っていた。
「くぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」オッサンは叫び続ける。
イケメンが戻って来るまで、なんとしてもオッサンをとめなければ、ここの生徒
や先生はオッサンに
やられてしまうだろう。いや、もしかしたら地球上のすべての生物も……。
「俺がなんとしても食い止めないと!!」信吾はそう呟き、バイクに乗ってオッ
サンに突っ込んでいく。
オッサンもそれに気づき、肉の塊のようの右手で信吾をつぶそうと襲ってくる。
信吾はバイクをとばし、すれすれで右手のあいだを通り抜け、レーザー銃でオッ
サンの顔を狙う。
しかし、次の瞬間オッサンの左手が勢いよく、信吾に向かって襲ってくる。
信吾はとっさに、レーザー銃をオッサンの左手に向けて撃つが、オッサンの左手
は血をふきだしながらも信吾につかみかかってくる。
「ちっ!よけきれねぇ!!」信吾は、オッサンの左手につかまり押しつぶされる
ように圧力が加えられる。
「くぁ……脱け出せねぇ……。俺は死ぬのか……」
「信吾!!!」イケメンが、オッサンの左手に向かって突進していく。
イケメンがレーザー銃をオッサンの左手に撃つ。それと同時にイケメンもオッサ
ンの右手につかまれてしまう。
「くぁぁぁぁぁぁあああああ!!!イケメンが!!イケメンが死んでしまう!!
イケメンが!!」オッサンが叫ぶ。
「オッサン!!オッサンなのか!!やめるんだーーーオッサンーーーー!!!」
信吾が叫ぶ。
「わ……わしの……わしのマショマロがつぶれていくーー!!!」そう叫んで、
イケメンはオッサンの皮膚に潰されてしまった。
「イケメンーーー!!くっそーーー!!ん!!さっきのイケメンの攻撃のおかげ
で腕が動かせる!!ようし」
信吾は、レーザー銃を持ちなおし、適当に撃ちまくる。そのおかげで、オッサン
の左手が裂け、信吾が飛び出す。
……ガチャン!!……ガチャン!!……ガチャン!!……ガチャン!!……ガチ
ャン!!ビンが割れる。
「やぁ……アキラ君……」青い顔の奴がいう。
その瞬間、何かが爆発したように感じに、真っ白い光がオッサンを覆っていく。
その光に触れると、オッサンは元のオッサンの姿になっていった。
「オッサンーーーーー!!」信吾は叫んだ。そして、自分もあの光に入っていこ
うとしたが、青い顔の細い奴が
「いま、行くともう二度と出られなくなる」と言ったが、信吾はそいつを投げ飛
ばした。
「信吾!!信吾ーーーー!!!」オッサンは叫びながら信吾を右手でつかんだ。
「うぁぁぁぁぁ!!」信吾もオッサンにつかまれたまま、光の中に入ってしまう
。
「だめだよ。今入ったら二度と出られないかも知れないよ」青い顔の奴がいう。
「でも、あの人は関係ないもの」そう言って青い顔の細い奴も入る。
「でも、三人力をあわせれば、あの人だけでも助けられるかも知れないわ」青い
顔女がいう。
「そうだね。三人力をあわせれば……」青い奴がいう。
………
……
…
 信吾は気がつくとグランドの真ん中に、立っていた。
上から、金の玉が2つ落ちてくる、信吾は、それを両手でつかみとり、手を祈る
ように閉じた。
「信吾君。信吾君」
「んぁーーえっ」
 信吾は、気がつくと教室の机に座っていた。
「ありがとう」信吾が言う。
「えっ……!!」あやめが無表情に訊く。
「呼んでくれただろ……聞こえたぜ」
 生暖かい風が、吹く。もうすぐ9月だ。ってことは魔傀儡二話だ……。
        
           
                 END